思い出の児童書

自宅のレイアウト見直しや断捨離の結果、
棚をひとつ増設することに成功。これでまた本が増やせる!!!
この一年、薄い本とヅカ関連書籍がじわじわと増え収納に困っていたんですよね。

収納スペースも増えたことだし、これを機に子どもの頃に図書館で借りて読み、ずっと記憶に残ってる思い出の本を買うことにしました。
一番好きな児童書を挙げよと言われてたら真っ先に思いつく作品、
向山貴彦さんの『童話物語』。

家族も友もいない孤独で貧しい主人公と妖精フィツが出会い、二人は行動を共にすることに。しかしフィツの使命は、最初に出会った人間を9日間観察し、この世界が滅ぶべきかどうかを判断することだったーーというようなお話。

この手の主人公はだいたい優しい心の持ち主だったりしますが、この物語の主人公・ペチカは違います。
餌をねだる仔猫を蹴飛ばして追い払い、ことあるごとに「お前なんか死んじゃえ」と言い放つ性格のねじ曲がりっぷり。
でもそんな性格にならざるを得ないほど過酷な境遇の主人公なんです。そこまでするか!?ってくらい辛い目に遭い続ける。
ネズミが出るまで耐えて、でお馴染みの十二国記シリーズ『月の影 影の海』の陽子に匹敵するくらい不遇です。(それ以上かも)

そんなペチカのセリフ、
「お金がいっぱいあって、お腹がいっぱいで、永遠に生きられたら誰だって親切になるよ!猫にエサをあげるのだって簡単だよ!そんなの暇でしょうがない人が退屈しのぎにやるんだ!」
これが子ども時代の自分にはかなり衝撃で、でも確かにそうだよな…と強く納得もしてしまう。自分を生かすことで精一杯すぎた彼女の悲痛な叫びなんですよね。猫を追い払ったことをずっと覚えてるあたり、彼女は悪人ではないのです。

そんな主人公が足掻き続け、優しい人々との出会いで変わってゆく姿が健気で眩しくて、おいおい泣いた記憶があります。
かつてペチカをいじめていた同村の少年ルージャンの葛藤と成長もいいんですわ。
終盤の「キャラメルパン、ごめんな…」のシーン、一生忘れらんねぇわ…。

この本は手元に置いておきたかったのよね〜とググってみたら、ハードカバー版が絶版になっていることを知りました。
う、嘘でしょ…こんな名作が…?
文庫版は存在するけど、挿絵がページの途中に差し込まれているのはハードカバー版のみなのです。(文庫版は巻頭にまとめて収録)それにハードカバー版の方が表紙も好み。
どうしても欲しいよ〜!!とジタバタした結果、Amazon経由で中古品を購入することに。本の状態写真などない中、店の「こちらは良品です」の説明文に縋る思いでポチりました。

で、届いたのがこちら。

超〜美品じゃん!!帯までついとるがな!
よく確認したら一箇所細かいページ破れはあったけど、全然許容範囲です。あまりの嬉しさにうるっと来てしまった。買ってよかった2022大賞だよ。年末年始にじっくり再読しようと思います。

それにしても本ってすぐ絶版になってしまうんですね…思い出の本はやっぱり紙で持っておきたいのに…。電子書籍時代の恩恵を受けつつも複雑な気持ちになりました。

こうなってくると他の本もこの世に存在するうちに買っておいたほうがいいか!?と焦ってしまう。
勾玉三部作とか、たつみや章の月神シリーズ(これも絶版になってました…死)とか、黒ねこサンゴロウシリーズとか…あれもこれも欲しい。

棚一つ増えたくらいじゃ収納全然足りないよ!という新たな悩みができてしまったのでした。